2023/10/22
三橋
2023/10/10
テラフォーミング・マーズ攻略1 基礎編 「拡大再生産」と「ドラフト」
テラフォーミング・マーズって、どんなゲーム? みんな大好きテラフォーミング・マーズ。 カードを中心とした重量級ゲームはいくつもあるが、その筆頭と言えるのがこのゲーム。 単純なルールとカード同士の無数の組み合わせにより、初プレイから楽しめて、しかもやりこみ甲斐のある素晴らしいボードゲームだと思う。 ただ、勝ち方がなかなか掴めない。 大量のカードに標準プロジェクト、マップではちょっとした陣取り要素もあるときた。 いったい何を考え、どんなカードを使えば勝てるのだろうか。 1. 拡大再生産ゲーム このゲームは「拡大再生産」だ さっそく強いカードの紹介を……と行きたいところだが、初回となる今回は、まず基本的なことをおさらいしておこう。 ボードゲームはそのルールの特徴からいくつかのジャンルに分類することができる。 テラフォーミング・マーズの最もコアとなる部分はなにか、それはやはり 「拡大再生産」 だろう。 今あるリソースを使って将来の収入を得る。その収入で得た金でまた新しい収入を得る。これを繰り返すゲームのことを拡大再生産ゲームと呼ぶ。 カードや標準プロジェクトによって、火星の開拓を進めつつ次のラウンドに使えるリソースを増やす。増えたリソースで新しくカードを使う。この繰り返しによりゲームは進行する。 こういったゲームでは、どれだけ効率的に収入を増やせるか、どれだけ効率的に増えたリソースをVP(勝利点)に変換できるか、が勝負の行方を決める。 拡大再生産ゲームには2つの鉄則がある。 テラフォーミング・マーズも例に漏れず。 基本中の基本ではあるが、まずはこの鉄則をしっかりと確認していきたい。 鉄則その1:序盤はとにかく収入を増やせ 最終的な勝敗はVP(勝利点)がすべて。しかし最初からVPのために動いているようでは勝てない。 なぜならVPを得るために使ったお金で代わりに収入を増やしておけば、最終的にはそれ以上のVPを得られるはずだから。 たとえばこの2枚のカードを比較してみよう。 《開拓民訓練キャンプ》は8金とお安いのになんと2VPもついている。 このゲームにおける2VPはわりと大きく、お手軽に勝利に近づくカードとして一見魅力的に思える。 対して《企業買収》は毎ラウンドの収入を増やすカード。 お金そのものは勝敗には関与しないので、それだけでゲームに勝てるわけではない。 最初の手札でこの2枚が配られた。 1ラウンド目では10金しか残っておらず片方しかプレイできないとしたら、どちらを使うのが正解だろうか? 正解はもちろん、《企業買収》だ。 ゲーム中、収入を得るタイミングが全部で10回あるとする。 《企業買収》を1ラウンド目に出せばなんと30金にもなって返ってくる。カードは手札に入れるために3金必要だから、費用は合計13金。しめて17金もの黒字になった。 この17金でさらなる収入アップカードに繋げてもいいし、あるいはVPのために使ってもいい。 しかし2ラウンド目以降に遅らせるとどうだろうか。 2ラウンド目では14金の儲け、3ラウンド目は11金…、7ラウンド目以降ならついに赤字だ。こういったカードは序盤に出せば非常に強力だが、時間が経つにつれ価値がどんどん下がっていくので素早くプレイしなくちゃならない。 一方、《開拓民訓練キャンプ》は1ラウンド目だろうが10ラウンド目だろうが同じ2VPに変わりはない。 VPをいくら稼いだかはゲーム終了後にようやく比べられるものであって、ゲームの最中にはなんの恩恵もない。 それならば、最初はまず《企業買収》で収入を伸ばして、増えたお金で《開拓民訓練キャンプ》をあとからプレイするのがよいだろう。 《開拓民訓練キャンプ》の使用タイミングに制限があるのはこういう事情。8コスト2VPという破格な得点手段だが、その代わりに序盤の拡大が鈍るというリスクを抱えている。 ゲーム序盤、カードのプレイ順に迷ったら「次もらう収入がより多くなるように」を指針にしよう。 ときには貯金して力を溜めることも 鉄則その2に進む前に、少し変則的なパターンも話しておこう。 手札にはこの2枚のカード。《不活性ガスの解放》はプレイできるが、《イオ採掘産業》には少しがお金が足りない。だけど収入後の次ラウンドなら41金払えるような状況だ。 さっきの「次もらう収入がより多くなるように」に従うなら、このラウンドに《不活性ガスの解放》をプレイすることになるだろう。 しかし、そのせいで次ラウンドも《イオ採掘産業》がプレイできないとしたら? 目先のちょっとした収入を優先して、《イオ採掘産業》のようなビッグアクションが遅れてしまうのはもったいない。 こういった場合は多少我慢して、 「トータルで最も収入を増やせる動きはなにか?」 を考えてみるべきだ。 鉄則その2:得点行動へ切り替えるタイミングを見極めろ ここまで、とにかく収入を増やすのが優先だ!という話をしてきた。 しかし拡大再生産ゲームにはもう1つ大きな要素がある。それは、 「どこかのタイミングで拡大(収入を増やす行為)を止めて、VPを集めるフェーズに移行する」 ということだ。 ゲーム終了時お金をどんなに持っていたって勝敗にはなんら関係ない。それをVPに変換しなければ意味がないのだ。 どこかのタイミングでVPを伴わない拡大行動は控え、点数の獲得に舵を切る必要がある。重要なのはそのタイミングで、それはゲームの残りラウンド数によって変わる。大体9~13ラウンドで終わるゲームなので、 遅くとも6ラウンド目には切り替えを意識しておく 。6ラウンド以降に収入カードを使うと損をする可能性が出てくる。注意されたし。 一番避けたいのは、《ガニメデ・コロニー》のような単純なVPカードを使わずにゲームが終わってしまうこと。こういうカードをちゃんとプレイできるように金量計算しておこう。 拡大はそこそこで切り上げて、得点行動に移行しよう。 2. ドラフトゲーム ドラフトゲームでもあったり テラフォーミング・マーズを語る上で、拡大再生産と同じくらい重要な要素がある。それは 「ドラフト」 だ。 ドラフトも、拡大再生産ほどではないにしろ色々なゲームに登場するルールで、運要素を手軽に軽減してくれる画期的なものだ。 テラフォーミング・マーズでは、ラウンド初めのカード配布でドラフトをする(選択式ルールだが、採用する人は多いのではないか)。 ここで何をピックし、何を流すかによって、ゲームの流れは大きく変わってくる。テラフォーミング・マーズはカードが重要なゲームなので、ドラフトも重要になってくる。 何をピックするか、2つの判断基準 ドラフトをするゲームでは基本的に、2つのことを考えればいい。 1つ目は比較的簡単。今、もしくは将来欲しいカードを取るだけ。シナジーがあるカードや、単純に強力なカードを優先してピックしよう。 2つ目は少し難しく、軽視されがちなのも事実。だが当然、無視していいわけもない。 具体例を見てみよう。 8ラウンド初めに引いた4枚の中に《反重力装置》があった。 条件はかなり厳しいものの、プレイできれば超強力な大物カードだ。 残念ながら自分は科学タグをほとんど集めておらず、とても条件を満たせないので完全に不要といっていい。 しかしここで隣プレイヤーの盤面を見てみると、彼は科学タグを7個持っているではないか。 もし《反重力装置》を回してしまえば、大喜びでピックして一気に引き離していくことは間違いない。 こういった1枚で勝敗が変わるようなカードは、自分で使わないとしても他人に渡してはいけない。 これをしないと、ただただ強いカード同士が噛み合ったプレイヤーが勝ってしまう。下家が強くなり過ぎないように、互いに責任を持つのが理想。 ピック方針は2つ。「自分の欲しいものをピック」か「他の人が欲しそうなものをピック」 ちなみに、自分にとってめちゃくちゃ強いカードと、隣プレイヤーにとってめちゃくちゃ強いカードが同時にあったらめちゃくちゃ困る。そういう時は、いずれのカードが強く働くかを考えて判断するしかない。ある程度は割り切り。 3. その他、大切なこと マイルストーンは最低1つは確保 マイルストーンの8金5VPは、このゲーム屈指の得点効率。 破格過ぎるので、必ず1つは確保したい。 多少拡大が遅れてもいいので、マイルストーンの確保を優先しよう。 これ、1人が確保をサボると、他の誰かが2個取ることになるので、これだけで10VP差。序盤・中盤の8金は重いとは言え、さすがにこの点差は厳しい。 自分のプレイ方針と噛み合っているマイルストーンを狙うのがベスト。もし他のプレイヤーが、自分より早くそれを達成しそうなら、気合で追いつくか、他のプレイヤーに狙われていないマイルストーンに狙いを移そう。 ラウンドの初めに、そのラウンドで何をするか決める テラフォーミング・マーズは限られたリソース内でやりくりするゲーム。 なので、ラウンドの初めに、そのラウンドのお金の使い道を考えておきたい。 それによって、ドラフトで何をピックするかも変わるかもしれない。 お金の使用は計画的に。 ドロー能力は先に使おう この話と関係してもう1つ、カードを引く能力の使用タイミングについて。 基本的に、 何よりも優先して先に使いたい 。お金を使ってしまった後に、より強いカードを引いたら目も当てられないからね。 マイルストーンの取り合いや都市の陣取りなどの大切な行動があるなら、もちろんそっちを先に済ませておく。 4. まとめと予告 次回は勝ち方の方針(大きく分けて2つ)について説明する。
テラフォーミング・マーズ攻略記事第2回。
だけどその前に少し戦略の話を。
そのゲームプランを、僕らは「コントロール」と読んでいる。
どういう戦略なのか、順番に見ていこう。
8ラウンドで終わったり、あるいは13ラウンドで終わったりするのがテラフォーミング・マーズというゲーム。
当然、8ラウンドのゲームと13ラウンドのゲームでは強いカードや上手い立ち回りも変わってくる。これがこのゲームの面白いところ。
みんなで全力で火星を開拓すればすぐ終わるし、逆にみんなカードばかりプレイしていたらいつまで経ってもゲームは終わらない。
もっと言えば、ゲームを長くした方が都合がいいなら火星を放置し、そうでないなら火星を全力で開拓する。
この「コントロール」と「アグロ」の概念は、最古のTCG「マジック:ザ・ギャザリング」から拝借したもの。ここでは、次のような戦略のことを指す。
早期決着すればアグロが勝って、長引くとコントロールが勝つ。
そういう単純な構図。
コントロールはゲームを長引かせることで勝ちを目指す。10~12ラウンドでの終了が目安。これ以上早く終わってしまうと勝てない場合が多い。
答えは簡単。火星を開拓しない。ただそれだけ。
コントロールプランを目指すのはいつか。
結論から言うと、いつでも目指す。
というのも、アグロに行くハードルが非常に高いので、何もなければ基本コントロールになる。
拡大幅の大きいカードから優先してプレイ。ここでロクに拡大できないならコントロール向いてないのでやめるべき。
点数源を確保しないと、いくら収入があっても勝てない。ドラフトでは気持ち多めにキープ。最終ラウンドに吐き出す。
開拓したらそれはコントロールじゃない。火星開拓をしてしまうカードもプレイしない。
なぜか知らないが、このゲームは火星を開拓しないでカードだけプレイしていれば勝てるようにできている。ゲームタイトルは詐欺である。
ドラフトで考えることは6つ。多い。多いけど、コントロールプレイで最も重要なのはカードの扱いなので、仕方がない。
コントロールプレイの基本。序盤は収入源を、中盤以降は点数源を優先して確保したい。
ただし、鉄収入を上げ過ぎると、たまに余るので注意。
点数源について、最も優先するのは《ガニメデ・コロニー》のような木星ギルド。コントロールはカードをたくさん出すので、雑に点数を得ることができる。
一方で、《魚類》のような点数クロック系カードは、見た目ほど強くはないので、そこまで気にしなくてもOK。
収入カード同様、コスト軽減カードも拡大カードとしてピックしたい。それらのカードには大体VPが書いてあるので、多くのカードをプレイすることで実質的にタダ以上で、そのVPを手に入れることができる。
例えば《前哨研究基地》は、購入含めて21金でプレイし、その後21枚のカードをプレイすれば元が取れて、それ以降にカードをプレイする度1金増えることになる。なんなら都市も貰えてる。ゲーム展開にもよるが、少なくとも40枚程度のカードをプレイするので、そこらの収入獲得カードより高いコスパを発揮するだろう。
他にも《宇宙ステーション》のようなチタン軽減カードも噛み合っている。高コストの得点源カードの多くはチタンを支払いに充てられるので、十分元は取れるだろう。
多くのカードをプレイする都合上、タグを参照するカードを強く使える機会に巡り合いやすい。《AIセントラル》、《反動力技術》、《高度な生態系》など、条件は重い代わりに破格の性能を有するカードは、使うと周囲がざわつく。
集める価値のあるタグは以下の通り。上の方が優先。
科学タグ
木星タグ
地球タグ
動物、植物、微生物タグ
最低でも一枚、継続的ドローソースを確保したい。ドローソース無しだとハンドリソースが足りない。《立ち入り制限区》などがこれに該当。
《オリンポス会議》は変則的だが、割と引けるので優先して購入したい。
ドラフトの際、次のプレイヤーがアグロなら場合、ゲームの終了を大幅に早めるカードは自分で取ってそのまま捨て札にする。《巨大氷水惑星》のようなカードをアグロに使われてしまうと、ゲーム終了が1ラウンド早まる可能性があるからだ。
木星ギルドや《AIセントラル》と同じパックにあったりしたら、仕方が無いので、どっちかを諦める。どちらを諦めるかは状況次第。
同様の理由でカット対象となるのが序盤の《設計された微細生命体》などの植物産出カードだ。緑化がアグロ側の大きな点数源となるので、カットできるならカットしたいところ。ただし、ゲーム終了トリガーは大体気温なので、植物産出カードのカットは優先度低め。特に欲しいカードが無い時にカットするくらい。
キーとなるのは《大輸送船団》。このカード、テキトーに打っても1TR、2VP、2ドロー、5植物と、そこそこの性能はある。
ここに《家畜》のように、動物タグ1個につき1VPになるカードが加わるとどうなるか。
36金で1TR、6VP、2ドローとかいうバカカードになる。やりすぎ。
他にも、動物を脱法配置できるカードが数枚ある。いつか彼らに巡り合う可能性を考慮して、《家畜》のように、動物タグを1VPに変換できるカードを1枚は手札に持っておきたい。
単体でスペックが高かったり、変な挙動をするカードたち。見かけたら注意。
ゲーム終盤、1枚で8~13程度の植物を沸かしてくれる。6コストと軽く、ほぼ確実に2点以上沸かす破格のカード。
ドローソースではあるが、序盤にプレイすると金が足りなくなる。ある程度金収入を確保できてからプレイ。
リーフタグ3条件下でプレイすることで大きなリターンを得られる。リーフ収入4に加え、3TRと、そのパワーは全体で見ても随一。条件を満たすまで手札で抱えておくと良い。
この2枚は単純にコスパが異常。コントロールならマストピックと言っても過言ではない。
特に基本マップでは注意が必要。バンカー(お金収入のアワード)が突然ひっくり返るので、バンカーに置く際は圧倒的リードが無いと安心はできない。
収入が増えれば1ラウンドあたりにプレイできるカードの枚数は増えるので、必然、手札は減っていくもの。手札が無いと折角のリソースをVPに変換できずに、より多くの手札を持つプレイヤーに負けてしまう。当然、手札が多いプレイヤーの方が、手札から出せるVPは多い。
なので、することが減ってくる前に終了トリガーを踏めるように動く。このタイミングになって初めて火星を積極的に開拓する。大丈夫、その時点でアグロに負けることはまずない。あり得ないと言ってもいい。
9ラウンド目くらいに明らかに他より多くのVPを持っていれば、それ以上ゲームを続ける意味もないので、火星の開拓に着手する。アグロがその段階から逆転することはない。
ちなみにこれは、逆転の目を潰す以外にも時間の節約という目的もある。
周りも「もう勝てるビジョン見えないし、さっさと終わらせてくれ…」と思ってるかもしれない。
勝利を確信したらすみやかにゲームを終わらせてあげよう。
8金5VPと破格なマイルストーン。
普段は必須だけど、コントロールに限っては必須ではない。
というのも、11ラウンド以上のゲームだと、5VPはたいして大きな点数ではないからだ。
どういうことか。
重要なのは点数感覚。8ラウンドで終わるゲームなら55VPで勝つくらいの点数感なので、5VPはめちゃくちゃでかい。
一方で、13ラウンドで終わるゲームなら100VPを超えるくらいなので、マイルストーンの5VPは、8ラウンドのゲームより重要度は低い。
ただもちろん、確保できるなら確保したい。
どのくらいプレイを歪めるか次第。
さて、ここまでこのゲームの王道戦略ともいえるコントロールについて説明してきた。
なんだけど実はコントロールにはもう1種類あって、それが「ハンドコントロール」だ。
標準的コントロールより、手札を大切にすることからこのように呼んでいる。
ただ、こっちのハンドコントロールはあまりおすすめとは言えない。標準的コントロールに比べると柔軟性に欠け、シビアな勝ち筋を要求されるから。
ハンドコントロールは「思うように収入を伸ばせなかった時の逃げ道」くらいの認識でいるといい。
ゲーム序盤に、他のコントロールに比べて収入が伸びなかった時に、ハンドコントロールへ移行。真っ向勝負では勝てないので。
収入カードよりVP付きカードをひたすら優先。
収入を軽視するので、万年金欠。ラウンドを増やして金を工面。
この方針を取ることで、コントロールに有利に立てる要素はこんな感じ。
手札を出し切った時の合計VPが高い
標準コントロールの手札が枯れた後も手札からカードを出せる
標準コントロールの得点源をドラフト段階でカットできる
特に重要なのは3で、なにがなんでも火星は開拓しない。戦略上収入は軽視せざるをえないので、こういう極端なプレイングが求められる。
他2人が拮抗していて、火星を開拓した方が負けそうな状況で、その穴を突いて勝つ。それがハンドコントロールの勝ち筋。
結構難しい。結構難しいが、このプレイを知っているかどうかで、勝率は結構変わるので押さえておきたい。
コントロールは、ゲームを10ラウンド以上に引き延ばして、VP付きカードをたくさん出して勝つ
ドラフトでは、収入源、VP、科学タグや木星タグを優先
ドローソースを確保
ハンドコントロールは、収入が伸びなかった時の逃げ道
それではまた次回。