テラフォーミング・マーズ攻略1 基礎編 「拡大再生産」と「ドラフト」

2023/10/10

三橋

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ゲーム名

テラフォーミング・マーズ

人数

1〜5人

プレイ時間

120分

発売年

2016年

定価

7,700円

Amazonリンク

https://amzn.to/3LVy91J

テラフォーミング・マーズって、どんなゲーム?

みんな大好きテラフォーミング・マーズ。

カードを中心とした重量級ゲームはいくつもあるが、その筆頭と言えるのがこのゲーム。

単純なルールとカード同士の無数の組み合わせにより、初プレイから楽しめて、しかもやりこみ甲斐のある素晴らしいボードゲームだと思う。

ただ、勝ち方がなかなか掴めない。

大量のカードに標準プロジェクト、マップではちょっとした陣取り要素もあるときた。

いったい何を考え、どんなカードを使えば勝てるのだろうか。

1. 拡大再生産ゲーム

このゲームは「拡大再生産」だ

さっそく強いカードの紹介を……と行きたいところだが、初回となる今回は、まず基本的なことをおさらいしておこう。

ボードゲームはそのルールの特徴からいくつかのジャンルに分類することができる。

テラフォーミング・マーズの最もコアとなる部分はなにか、それはやはり「拡大再生産」だろう。

今あるリソースを使って将来の収入を得る。その収入で得た金でまた新しい収入を得る。これを繰り返すゲームのことを拡大再生産ゲームと呼ぶ。

カードや標準プロジェクトによって、火星の開拓を進めつつ次のラウンドに使えるリソースを増やす。増えたリソースで新しくカードを使う。この繰り返しによりゲームは進行する。

こういったゲームでは、どれだけ効率的に収入を増やせるか、どれだけ効率的に増えたリソースをVP(勝利点)に変換できるか、が勝負の行方を決める。

拡大再生産ゲームには2つの鉄則がある。

テラフォーミング・マーズも例に漏れず。

基本中の基本ではあるが、まずはこの鉄則をしっかりと確認していきたい。

鉄則その1:序盤はとにかく収入を増やせ

最終的な勝敗はVP(勝利点)がすべて。しかし最初からVPのために動いているようでは勝てない。

なぜならVPを得るために使ったお金で代わりに収入を増やしておけば、最終的にはそれ以上のVPを得られるはずだから。

たとえばこの2枚のカードを比較してみよう。
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8金で2VPと破格の効率だが、、、
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出してすぐはマイナスだが将来的には得しそう

《開拓民訓練キャンプ》は8金とお安いのになんと2VPもついている。

このゲームにおける2VPはわりと大きく、お手軽に勝利に近づくカードとして一見魅力的に思える。

対して《企業買収》は毎ラウンドの収入を増やすカード。

お金そのものは勝敗には関与しないので、それだけでゲームに勝てるわけではない。

最初の手札でこの2枚が配られた。

1ラウンド目では10金しか残っておらず片方しかプレイできないとしたら、どちらを使うのが正解だろうか?

正解はもちろん、《企業買収》だ。
ゲーム中、収入を得るタイミングが全部で10回あるとする。

《企業買収》を1ラウンド目に出せばなんと30金にもなって返ってくる。カードは手札に入れるために3金必要だから、費用は合計13金。しめて17金もの黒字になった。

この17金でさらなる収入アップカードに繋げてもいいし、あるいはVPのために使ってもいい。

しかし2ラウンド目以降に遅らせるとどうだろうか。

2ラウンド目では14金の儲け、3ラウンド目は11金…、7ラウンド目以降ならついに赤字だ。こういったカードは序盤に出せば非常に強力だが、時間が経つにつれ価値がどんどん下がっていくので素早くプレイしなくちゃならない。

一方、《開拓民訓練キャンプ》は1ラウンド目だろうが10ラウンド目だろうが同じ2VPに変わりはない。
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同じ2点だピョン

VPをいくら稼いだかはゲーム終了後にようやく比べられるものであって、ゲームの最中にはなんの恩恵もない。

それならば、最初はまず《企業買収》で収入を伸ばして、増えたお金で《開拓民訓練キャンプ》をあとからプレイするのがよいだろう。

《開拓民訓練キャンプ》の使用タイミングに制限があるのはこういう事情。8コスト2VPという破格な得点手段だが、その代わりに序盤の拡大が鈍るというリスクを抱えている。
ゲーム序盤、カードのプレイ順に迷ったら「次もらう収入がより多くなるように」を指針にしよう。

ときには貯金して力を溜めることも

鉄則その2に進む前に、少し変則的なパターンも話しておこう。

手札にはこの2枚のカード。《不活性ガスの解放》はプレイできるが、《イオ採掘産業》には少しがお金が足りない。だけど収入後の次ラウンドなら41金払えるような状況だ。

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TR+2は2金の収入アップでもある
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チタンを3金換算すれば、なんと8金収入に

さっきの「次もらう収入がより多くなるように」に従うなら、このラウンドに《不活性ガスの解放》をプレイすることになるだろう。

しかし、そのせいで次ラウンドも《イオ採掘産業》がプレイできないとしたら?

目先のちょっとした収入を優先して、《イオ採掘産業》のようなビッグアクションが遅れてしまうのはもったいない。

こういった場合は多少我慢して、「トータルで最も収入を増やせる動きはなにか?」を考えてみるべきだ。

鉄則その2:得点行動へ切り替えるタイミングを見極めろ

ここまで、とにかく収入を増やすのが優先だ!という話をしてきた。

しかし拡大再生産ゲームにはもう1つ大きな要素がある。それは、「どこかのタイミングで拡大(収入を増やす行為)を止めて、VPを集めるフェーズに移行する」ということだ。

ゲーム終了時お金をどんなに持っていたって勝敗にはなんら関係ない。それをVPに変換しなければ意味がないのだ。

どこかのタイミングでVPを伴わない拡大行動は控え、点数の獲得に舵を切る必要がある。重要なのはそのタイミングで、それはゲームの残りラウンド数によって変わる。大体9~13ラウンドで終わるゲームなので、遅くとも6ラウンド目には切り替えを意識しておく。6ラウンド以降に収入カードを使うと損をする可能性が出てくる。注意されたし。

一番避けたいのは、《ガニメデ・コロニー》のような単純なVPカードを使わずにゲームが終わってしまうこと。こういうカードをちゃんとプレイできるように金量計算しておこう。

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木星タグを集めることで高得点を叩き出せる
拡大はそこそこで切り上げて、得点行動に移行しよう。

2. ドラフトゲーム

ドラフトゲームでもあったり

テラフォーミング・マーズを語る上で、拡大再生産と同じくらい重要な要素がある。それは「ドラフト」だ。

ドラフトも、拡大再生産ほどではないにしろ色々なゲームに登場するルールで、運要素を手軽に軽減してくれる画期的なものだ。

テラフォーミング・マーズでは、ラウンド初めのカード配布でドラフトをする(選択式ルールだが、採用する人は多いのではないか)。

ここで何をピックし、何を流すかによって、ゲームの流れは大きく変わってくる。テラフォーミング・マーズはカードが重要なゲームなので、ドラフトも重要になってくる。

何をピックするか、2つの判断基準

ドラフトをするゲームでは基本的に、2つのことを考えればいい。

  • 自分が欲しいカードはどれか

  • 次のプレイヤーに渡してはいけないカードがあるか

1つ目は比較的簡単。今、もしくは将来欲しいカードを取るだけ。シナジーがあるカードや、単純に強力なカードを優先してピックしよう。
2つ目は少し難しく、軽視されがちなのも事実。だが当然、無視していいわけもない。
具体例を見てみよう。

8ラウンド初めに引いた4枚の中に《反重力装置》があった。

条件はかなり厳しいものの、プレイできれば超強力な大物カードだ。

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同じ効果の《地球カタパルト》が23コスト3VPなので、このスペックは破格中の破格。

残念ながら自分は科学タグをほとんど集めておらず、とても条件を満たせないので完全に不要といっていい。

しかしここで隣プレイヤーの盤面を見てみると、彼は科学タグを7個持っているではないか。

もし《反重力装置》を回してしまえば、大喜びでピックして一気に引き離していくことは間違いない。

こういった1枚で勝敗が変わるようなカードは、自分で使わないとしても他人に渡してはいけない。

これをしないと、ただただ強いカード同士が噛み合ったプレイヤーが勝ってしまう。下家が強くなり過ぎないように、互いに責任を持つのが理想。

ピック方針は2つ。「自分の欲しいものをピック」か「他の人が欲しそうなものをピック」

ちなみに、自分にとってめちゃくちゃ強いカードと、隣プレイヤーにとってめちゃくちゃ強いカードが同時にあったらめちゃくちゃ困る。そういう時は、いずれのカードが強く働くかを考えて判断するしかない。ある程度は割り切り。

3. その他、大切なこと

マイルストーンは最低1つは確保

マイルストーンの8金5VPは、このゲーム屈指の得点効率。

破格過ぎるので、必ず1つは確保したい。

多少拡大が遅れてもいいので、マイルストーンの確保を優先しよう。

これ、1人が確保をサボると、他の誰かが2個取ることになるので、これだけで10VP差。序盤・中盤の8金は重いとは言え、さすがにこの点差は厳しい。

自分のプレイ方針と噛み合っているマイルストーンを狙うのがベスト。もし他のプレイヤーが、自分より早くそれを達成しそうなら、気合で追いつくか、他のプレイヤーに狙われていないマイルストーンに狙いを移そう。

ラウンドの初めに、そのラウンドで何をするか決める

テラフォーミング・マーズは限られたリソース内でやりくりするゲーム。

なので、ラウンドの初めに、そのラウンドのお金の使い道を考えておきたい。

それによって、ドラフトで何をピックするかも変わるかもしれない。

お金の使用は計画的に。

ドロー能力は先に使おう

この話と関係してもう1つ、カードを引く能力の使用タイミングについて。

基本的に、何よりも優先して先に使いたい。お金を使ってしまった後に、より強いカードを引いたら目も当てられないからね。

マイルストーンの取り合いや都市の陣取りなどの大切な行動があるなら、もちろんそっちを先に済ませておく。

4. まとめと予告

  • 序盤は何においても拡大

  • 6ラウンド目くらいから、ゲームの終わりを見据え、VPを意識

  • ドラフトでは、自分の欲しいカードを意識しつつも、カットも重視

  • マイルストーンは必ず1つ取る

  • お金の使用は計画的に

次回は勝ち方の方針(大きく分けて2つ)について説明する。