東方帝国プレイ記2024

2024/12/03

小林

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ゲーム名

東方帝国

原題

Eastern Empires

人数

3〜18人

プレイ時間

360~720分

発売年

2021年

2024年某月某日、都内某所。1プレイに10時間以上を要するとされる東方帝国/Eastern Empireをプレイするために7人の男たちが集まった。ここではその記録を振り返りたい。

東方帝国の概要はこちら。
「西方帝国/東方帝国」真の重ゲーがここに

全選手入場!

  • シバ/SABA(橙):小林

  本記事の執筆者であり東方帝国の持ち主。

  • バビロン/BABYLON(グレー):永山

  声がデカいことでおなじみ。

  • クシャーン/KUSHAN(茶):寺岡

  HQGamesきっての穏健派。

  • ペルシア/PERSIA(紫):神谷

  我らがHQGamesの代表。

  • ヌビア/NUBIA(青緑):齋田

  理論派。ねちっこいプレイを好む。

  • インダス/INDUS(緑):中西

  1日16時間ゲームをしている。

  • パルティア/PARTHIA(カーキ):木村

  多人数ゲームでも容赦なく他プレイヤーをカットすることで恐れられている。

文明の曙

  • ターン1〜5

  • プレイ開始から1時間

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ゲーム開始時のマップ。7人プレイの場合、写真右上の白いトークンが置いてある箇所は使用しない。

2時間程度のゆったりとしたインストを終え、いよいよゲームがスタートした。

まずは各文明とも人口を増やし、領土を拡大するところからである。最初は人口が各文明1人ずつしか存在しないため、行動の選択肢がそれほど多くなく、ターンはすぐに回っていく。

順当にゲームが進んでいくかと思われた3ターン目、パルティアバビロンに早くも仕掛けようとする事態に。どうも南に領土を拡大するために、バビロンに撤退することを要求しているようだ。他プレイヤーと争うことを厭わないパルティア:木村らしいプレイである。これに対し、バビロン:永山はルーズルーズになるだけであると必死で説得し、不可侵領域を設けることで何とか争いを回避。

こんなに早くもめるとは思っていなかったので、周りのプレイヤーたちは笑っている。

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撤退を要求するパルティア:木村(右)と必死に説得するバビロン:永山(左)

4ターン目も引き続きパルティアバビロンが交渉。何とか争いが回避される中、クシャーンが史上初の都市を建設し、交易カードを入手。まだ他プレイヤーが交易カードを持っていないため、交易は行われずにターンが終了した。

交易フェイズの前に、各プレイヤーは自身の都市の数だけ交易カードを数字の小さい山札から1枚ずつ引く。その後、各プレイヤーは3枚以上の交易カードのセットを、1枚のみ正体を隠して他プレイヤーと自由に交換していく。
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例えば都市を3つ持つプレイヤーは、1, 2, 3の山から1枚ずつ交易カードを貰える。数字が大きいほど価値が高い。

5ターン目、ゲーム開始から倍々ゲームで増えてきた人口は、ついに各文明最大32人に達し、マップ上に収まり切らない事態に。余った人口を調整するために、パルティアシバの間で史上初の戦闘が発生。また、各文明とも増えた人口で都市を建設し、文明ごとの領土が明確となってきた。

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5ターン目終了時のマップ。人口上限が0であるマスを除き、ほとんどのマスが人口で埋まっている。

繁栄と衰退

  • ターン6〜10

  • プレイ開始から2〜4時間

6,7ターン目も都市の建設ラッシュは続き、ついに交易カードを3枚以上手にした文明が現れたことで、7ターン目には史上初の交易が行われた。このターンでは文明進歩カードの購入金額までには届かなかったものの、各文明は後のターンに備え手札を整えた。

なお、6ターン目の終わりにはついにASTに差が生じ、バビロンヌビアが一歩遅れる形となった。

ターン終了時、一定の条件(都市が2つある等)を満たしていると、自文明のASTマーカーが1マス右へ進む。誰か1人でも右端(鉄器時代後期)に到達すれば、ゲームが終了する。
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6ターン目終了時のAST。都市数の違いによって進捗の差が生じている。

8ターン目、交易カードを配り終えると2の山札がない。これはつまり、誰かが交易可能の災害である<謀反>(および交易不可の<火山噴火/地震>)を手札に持っているということである。全員の中に緊張が走る。先ほどまでとは打って変わり、たどたどしく交易が行われ、ついに災害カードが公開された。

それぞれの交易カードの山の中には、数字カードの他に災害カードが混ざっている。交易フェイズの最後まで災害を持っていたプレイヤーは甚大な被害を受ける、いわゆる"ババ"だ。

まず<火山噴火/地震>を引いたのはパルティア!運の悪いことに火山に接する文明であったため、都市2つと人口4つが跡形もなく消えてしまった。あまりにも容赦のない災害に肩を落とすパルティア:木村

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<火山噴火/地震>により、火山に接するマスの都市および人口がすべて消えてしまう羽目に。

次いで<謀反>を引いていたのはヌビア<謀反>受益者(当該災害をそのプレイヤーに手渡したプレイヤー)に都市を1つ併合させるという効果だが、<謀反>ヌビア:齋田に渡したのはシバ:小林であったため、ヌビアは隣接するシバの侵入を許すことに。災害を通じてゲームが動いていく。

文明進歩獲得フェイズに移ると、なんとバビロン:永山<漆>を6枚公開!皆が災害を怖がる中、積極的に交易を行いカードを集めていたのだ。これによりバビロンは180金をたたき出し、コストの高い<地図製作>を一足先に購入した。
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<漆>6枚により5*6^2=180金をたたき出し、<地図製作>を購入。

また、パルティア:木村はカードを全てはたいて<原理主義>を購入。<原理主義>は隣接するエリア1つの都市及び人口をすべて破壊するという恐ろしい効果であり、好戦的なパルティア:木村らしいチョイスである。

その他の文明も各々に文明進歩を購入していき、一旦ここで昼休憩を挟むこととなった。

昼休憩を終えると、9ターン目からは人口が増えたこともあり、移動フェイズを順番に行うことに。ヌビアは人口をつぎ込み、<謀反>シバに奪われた都市を奪還。バビロンは前のターンの勢いのまま、8都市の建設に成功した。

2以外の山札も残り少なくなる中、災害カードを公開するとなんと7枚!全体で都市が3つ破壊&9つ衰退し、さらに60点弱のダメージを叩き出したことで、各文明は一時休戦の様相となった。

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7つの災害が同時に発生。特に<飢饉>と<伝染病>は複数プレイヤーにダメージを与えるため影響が大きい。

なお、ここでインダス:中西<原理主義>を購入。<原理主義>による攻撃は、同じく<原理主義>を持つプレイヤーには効かないため、<原理主義>を先に購入したパルティア:木村に対抗できる。災害に加え<原理主義>の恐怖も現れ、怯える他プレイヤー達であった。

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<原理主義>は<原理主義>で防げるので、さながら核兵器の開発競争のように対抗して購入されがちである。

10ターン目は各文明が復興に勤しむ中、そこに災害が再び襲い掛かる。パルティア:木村は運の悪いことに再び<火山噴火/地震>を引いてしまい、再建した都市が吹き飛ばされてしまう。その他の災害も続き、全体で都市が3つ破壊&7つ衰退&1つ併合し、加えて10点弱のダメージとなった。

※なお、この時は交易カードのシャッフルの仕方に誤りがあり、災害がめくれやすくなっていたことにご留意いただきたい。

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7つの災害に続き、今度は6つの災害が発生。これまで築き上げてきた文明は脆く崩れ去った。

この時点でASTは、条件の緩いシバパルティアのみが青銅器時代中期に進み、その他の文明は3都市&3文明進歩という条件を満たすことができず、青銅器時代初期に留まることとなった。

災害を超えて

  • ターン11〜15

  • プレイ開始から5〜13時間

11ターン目、交易を開始するとヌビア:齋田が驚くべきことを言った。

このターンに引いた交易カード5枚の内、2枚が交易不可の災害だったので、交易可の災害カードを引き受ける代わりに良いカードが欲しいというのである。

「同一プレイヤーが災害カードを3枚以上所持している場合、その内2つをランダムに選んで発動し、それ以外の災害カードは発動せず捨てる」というルールがあり、それを活用した形だ。

これによりヌビア:齋田<漆>を6枚集め、<塩>3枚と合わせて220金の<民主主義>を購入するビッグプレーを見せた。

AST進行条件のひとつに「200金以上の文明進歩カードを3枚以上所持」があるため、買えるときに買っておくことが重要である。加えて200金以上のカードは格段に効果が強いので、その意味でも早めに購入したい。
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災害カードを引き受ける代わりに有利なトレードを進め、200金超えを達成。

一方、ヌビア:齋田の手になかった唯一の災害である<内乱>ペルシアを襲う。<内乱>は「自身の人口及び都市を35点分(人口は1つ1点、都市は1つ5点)残し、残りを受益者に併合する」という恐ろしい効果であるが、この時隣接するバビロン:永山が受益者となっていたため、1都市および13人口がペルシアからバビロンの手に。ペルシア:神谷としてはあまりにも手痛い一撃となった。

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<内乱>により、拡大していたペルシャ(紫)の人口が隣接するバビロン(グレー)のものに。

この辺りから各プレイヤーの行動に変化が生じる。

あまりにも災害が頻発するため、各プレイヤーはもはや災害を恐れず交易に臨むようになったのだ。このゲームでは交易によるメリットが非常に大きく、また災害もそのターンの文明進歩の購入には基本的に影響を及ぼさないため、合理的な判断と言えよう。もちろん、文明進歩の購入により、災害を緩和することが可能になったのもそれを後押ししている。

12ターン目以降も被災と復興が繰り返され、13ターン目にはついに、このゲームで最強の文明進歩である<世界的偉業>ペルシア:神谷が購入した。
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<世界的偉業>は実質破壊されない都市であり、これが出てくるとゲームはもう終盤である。

ゲーム終盤になっても災害は容赦なく襲い掛かる。

14ターン目には9の山札の底に眠っていた<退行>が現れ、ついにすべての災害が姿を現すことになった。クシャーン:寺岡<退行>を運悪く引いてしまい、ASTを1マス戻すという致命的な被害を受けてしまう。

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14ターン目に発生した災害。<退行>は盤面に影響を及ぼさないものの、ASTを1マス戻す≒1ターンやり直しという、勝利を目指すには厳しすぎる効果である。

15ターン目終了時のASTは以下の通り。シバペルシアインダスパルティアが一歩リードするが、まだ誰も鉄器時代初期に進むための条件を満たしていない。勝利は誰の手に。

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15ターン目終了時のAST。1マス差しかないため、誰が勝つかまだ分からない。

8000年の頂点

  • ターン16〜18

  • プレイ開始から14〜16時間

朝の9時から開始したゲームはもう23時になり、皆の表情にも疲労が浮かび始める。

しかしながら、ゲームが佳境であるため休むことは許されない。災害により領土が入り混じる状態となったことで、疲れた中でも難しい判断を迫られる。

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ペルシア湾ではペルシア(紫)、バビロン(グレー)、パルティア(カーキ)、シバ(橙)、インダス(緑)が入り混じり激しい攻防に。

そんな中、16ターン目にはインダスパルティアが200金以上の文明進歩を累計で2つ獲得し、また都市を4つ維持したことで、ついにゴール一歩手前までASTを進めた。これでもう1つ200金以上の文明進歩を獲得し、都市を5つ維持すればゲーム終了である。

ゲーム終了条件であるAST最終マスへの進行条件は「200金以上のカード3枚と都市5つ」。最終マスに到達すればより多くの勝利点が得られ、ゲームを決定づける。

しかしながら、ここでペルシア:神谷がタイムリミットを迎え離脱することに。また、ヌビア:齋田も体力の限界を迎え離脱。重ゲーならではの避けられない事態である。

残った男達はゲームを続ける。17ターン目、インダスパルティアは他プレイヤーが安易に交易に応じてくれなくなったこともあり、200金以上の文明進歩を獲得することができない。一方、シバクシャーンも条件を満たし、ゴール一歩手前までASTを進めた。

18ターン目、各プレイヤーは自力で交易カードを集め、200金以上の文明進歩を獲得し、ついにゴールである鉄器時代後期に到達した。これでゲーム終了である。

インスト開始からすると18時間、深夜27時のことであった。

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18時間もプレイしたにもかかわらず、最後まで接戦であった。

得点計算の結果、インダス:中西が僅差で優勝となった。

  • インダス:中西 118点

  • クシャーン:寺岡 117点

  • バビロン:永山 117点

  • シバ:小林 113点

  • パルティア:木村 109点

  • ペルシア:神谷 途中離脱

  • ヌビア:齋田 途中離脱

16時間もプレイしたにもかかわらず、最後まで接戦になったのは特筆すべきことだろう。これにてHQGamesの東方帝国は幕を閉じた。

僅差のため勝敗の要因について語るのは難しいが、やはり攻められにくい奥地にしっかりと自身の拠点を設け、その上で不要な争いは避け、他方で攻めるべきところは攻めるという基本を忠実に守ったプレイヤーが勝利を収めることができたのではないだろうか。6人も他のプレイヤーがいると頭一つ抜け出してそのままトップを走り続けるのは不可能(ましてウォーゲームならなおさら)なので、上手く他プレイヤーと協調することが望ましいと考えられる。

おまけ

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東方帝国の終了後にそのままSleeping Gods(超重ゲー)を始める狂人たち

おしまい