2024/10/23
小林
ゲーム名 | 西方帝国 |
原題 | Western Empires |
人数 | 3〜18人 |
プレイ時間 | 360~720分 |
発売年 | 2019年 |
ゲーム名 | 東方帝国 |
原題 | Eastern Empires |
人数 | 3〜18人 |
プレイ時間 | 360~720分 |
発売年 | 2021年 |
「西方帝国/東方帝国」は、最後の氷河期が終わった紀元前8000年頃から、鉄器時代の終わり(0年)までの8000年間にわたる、古代文明の発展をテーマにしたゲームです。
プレイヤーは文明の指導者となって領土を拡大し、交易で得た利益で文明を発展させていきます。
「西方帝国/東方帝国」は、主に「①人口増加~移動~紛争~都市の建設」と、「②交易~災害発生~技術(文明進歩)の購入」の2つのフェイズを通じて、ターンが進行します。
①では、人口を増やして領土を拡大し、他の文明と紛争して生き残った人口で都市を建設します。ゲーム開始時に人口は1人しかいないのですが、毎ターン倍々に増えていくので、あっという間に盤面は埋まっていきます。
領土が足りなくなったら他の文明と紛争です。紛争の解決手段はとてもシンプルで、1対1で討ち合い、多い方が勝つというものになります。
そうして、生き残った人口で都市を建設します。都市を建設すると交易のための商品を多く、またより価値の高いものを入手できるようになります。
②では都市の数に応じて交易カードを入手し、他の文明とそれらを交換して価値を高め、様々な利益をもたらす技術を獲得します。
交易カードは、その多くは商品なのですが、中には後述する「災害」という不利益をもたらすカードも混じっています。
交易は以下のルールに従って行います。
一定時間(例えば10分間)、各プレイヤーはリアルタイムで交易カードを好きなように交渉して交換できる。
交換は3枚以上で行う。交換する枚数は異なっていてもOK。
交換の際、2枚は正直に中身を伝えて交換する。
この3つ目のルールが重要であり、すなわち少なくとも1枚は正体を明かさずに、交易カードを相手に渡すことができます。恐ろしい災害は相手に渡してしまいましょう(ただし、もっとひどい災害を相手からもらうかもしれません)。
交易の後、災害を解決し終えたら、入手した商品を用いて技術を購入します。
技術は移動・紛争を有利にするもの、災害を防ぐもの、交易を有利にするもの等、様々なものがあります。どの組み合わせが強いか考えながら獲得していくのも、このゲームの楽しいポイントです。
文明の発展度合いを踏まえ、どの年代相当なのかを示す時代継承テーブル(AST)を進めてターンは終了します。
いずれかの文明が鉄器時代後期に突入した時点でゲームは終了し、ASTの進捗、所有する都市数・技術で勝者を決定します。
このゲームの特徴として、まずその圧倒的なコンポーネント量が挙げられます。
「西方帝国」と「東方帝国」の両方を合わせると、
マップボードはおよそ130cm×400cm
トークン2000個強
カード1400枚弱
総重量11kg
と、プレイ場所を探すにも一苦労なサイズです。
プレイ時間も長く、過去に12人でプレイした際にはルール説明含め18時間を要しました。まさに重ゲー(物理的にも時間的にも)という訳です。
そんな「西方帝国/東方帝国」ですが、すごいのはプレイ中ずっと面白いことです。
この手の超重ゲーはダウンタイムの多さやプレイ時間そのものの長さから、途中でダレてしまうことがありがちですが、「西方帝国/東方帝国」では全くそういうところがありません。
それをもたらしているのは交易であり、ターン制のゲームにリアルタイムのフェイズが混ざることで良い刺激をもたらすと共に、災害を巡る駆け引きが交渉を熱くさせます。
災害は非常に厳しく、人口がいきなり半分になってしまうこともままあります。そうであれば交易をしない方が良いようにも思えるのですが、交易で得られる利益が指数関数的に伸びていく都合上、災害のリスクを負ってでも交易をした方が強いです。
そんなハイリスク・ハイリターンの交渉をリアルタイムで行うという、従来のウォーゲームにはなかった要素がこのゲームを魅力的にしています。
(余談ですが、この交易はボードゲーム「ピット(Pit)」)に似ているので、HQGamesでは「ピット」と呼んでいます)
また、災害の被害が大きいために、強いプレイヤーがずっと強いままで逆転の目がなくゲームが終わるという、重ゲーあるあるの展開にもなりにくいです。
災害の中には負けているプレイヤーに莫大な利益をもたらすものもあり、一度沈んだとしても希望をもってゲームを続けることができます。
人口も倍々ゲームで増加していくので、目まぐるしく戦況は変わっていくこととなります。
流石にプレイ時間が長いのでプレイには気合いがいるかもしれませんが、その面白さは折り紙付きですので、一度プレイしてはいかがでしょうか。