『テラミスティカ:革新の時代』 ファーストインプレッション

2023/10/30

三浦

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ゲーム名

テラミスティカ:革新の時代

人数

1〜5人

プレイ時間

40分×人数

発売年

2023年

定価

14,520円

販売元リンク

https://tendaysgames.shop/?pid=177185412

2013年ドイツゲーム大賞を受賞した『テラミスティカ』は、共存というフレーバーを上手くシステムに落とし込んでおり、またその戦略性・リプレイ性の高さから、発売以降長きにわたってボードゲーマー達を魅了してきた。

そんな『テラミスティカ』の戦略性・リプレイ性・コンポーネントをさらにパワーアップした『テラミスティカ:革新の時代』が先週発売された!その面白さに取り憑かれ、僕はすでに8回もプレイしてしまった。先週末・今週末と本作をプレイした方も多いのではないだろうか。

この記事では、『テラミスティカ:革新の時代』について、僕が現段階で有力と考える戦略についてお伝えしたい。

より「拡大再生産」にフォーカスしたゲームへ

『テラミスティカ』といえば、拡大と得点のバランスが難しく、ラウンド得点タイルに沿って拡大と得点を両立するゲームという印象が強い。ラウンド得点ボーナス、ボーナスタイル、恩恵タイル、町タイル、宗教、最大建物数……など、さまざまな得点源が影響力を持つ中で、自分の強みを持ちながら得点源や拡大再生産の取捨選択を行う必要があった。

一方で『テラミスティカ:革新の時代』では、「拡大再生産」の重要度が非常に高いと感じている。

ラウンド6のラウンド得点タイルが2倍に

『テラミスティカ:革新の時代』には、4枚の「最終ラウンド得点タイル」が追加され、最終ラウンドでの建物建設による得点効率が高くなっている。特に以下の3枚の得点効率は非常に高い。

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得点効率の高い最終ラウンド得点タイル
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工房建設を重ねて最終ラウンドに大量得点

つまり、『テラミスティカ』と比べてリソース(道具・金)を得点に換える効率が非常に高くなっているのだ。

その結果、『テラミスティカ』のラウンド得点タイルに沿って拡大と得点を両立するゲームプランよりも、ある程度ラウンド得点タイルや科学(宗教)は無視して、最終ラウンドに向けてどれだけ拡大再生産できるかというゲームプランの方が強力になっている(もちろん、拾える得点は拾えた方が良い)。

最終得点のスケールが変化

先述の得点効率の変化や革新タイルの追加によって、最終得点のスケールも変化している。具体的には、『テラミスティカ』の勝者(1位)最終得点平均が130点前後だったのに比べ、『テラミスティカ:革新の時代』では210点前後となっている。

つまり、最終ラウンドでの建物建設以外の各得点源個別の影響力は、相対的に小さくなっていると言えるだろう。

特に科学(宗教)による得点の影響力は、これに加えて
  • 鍵が必要になる科学(宗教)ポイントが10→7に変化

  • 1位確定に必要な科学(宗教)ポイントが10→12に変化

  • ラウンド得点タイルの科学(宗教)ボーナスの弱体化

によってかなり小さくなったと考えており、『テラミスティカ』のように科学(宗教)による得点をゲームプランの主軸に置くことが難しくなっている。

革新タイルによる得点はだいたい同じ

『テラミスティカ:革新の時代』の新要素である革新タイルだが、得点系の革新タイルによって得られる得点はどれも15点前後であるため、取得した革新タイルの枚数が同じであれば数点レベルでしか差がつかないことが多い。つまり、最終的に同じ枚数取得するのであればゲーム全体への影響は小さいと言える。

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得点系の革新タイルの例

一方で他プレイヤーより多くの革新タイルを取得できた場合の影響は大きく、特に先述の「拡大再生産」の重要度の高さから、ゲーム序盤に拡大系の革新タイルを1枚取得、それにより得たリソースを活用し、追加で得点系の革新タイルを2枚取得するゲームプランが強いのでないかと考えている。

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拡大系の革新タイルの例

初手宮殿(砦)プランの強化

『テラミスティカ』ではラウンド1で神殿(カオスマジシャンは聖域)を建設するゲームプランと、ラウンド1で砦を建設するゲームプランのどちらかを選ぶのが定石とされていた。

『テラミスティカ:革新の時代』では、学校(神殿)建設時に本も得られるようになった一方で、序盤に取得したい拡大系の能力タイルの収入量は小さくなっている(『テラミスティカ』で強力だった住居/交易所建設時の得点恩恵タイルも削除されているが……残っていたとして本作でも強力であったかは疑問である)。加えて先述の科学の影響力の小ささゆえ、学者収入の有用な活用先も限定的だ。
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拡大系の能力タイルの例

一方で宮殿(砦)建設時に得られる能力は選べるようになり、序盤の拡大再生産において強力な宮殿タイルも複数存在する。さらに宮殿建設によって革新タイルへのアクセスも良くなるため、初手宮殿建設ののち拡大系の革新タイルに早期にアクセスするゲームプランも有力と考えている。

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拡大系の宮殿タイルの例

で、結局何が強いの?

……とここまで全体のゲームプランの印象を述べてきたが、やはり気になるのは「結局何が強いの?」というところではないだろうか。

強い地形/勢力/宮殿は他のプレイヤーやタイルの状況、組み合わせによって変わると前置きしつつ、(現段階の個人的な印象で)それ単体で有力な地形/勢力/宮殿を以下に挙げる。

地形

各地形の持つ能力は(緑(森林)以外は)それぞれ強力であるため、ここではマップ上の配置に注目して強力な地形を挙げる。

  • 3人マップ

灰(山岳)が非常に強い。下記の2つのポイントが1スコップでつながりつつ、最終にこの2つの建物群もつながりやすい。

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1人〜3人用のマップ
  • 4人マップ

他と比べて非常に強力というわけではないが、あえて挙げるとすれば青(湖)が強い。船舶による到達範囲を持つため、下記のように1スコップで拡大でき、その後の拡大も比較的簡単。

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4, 5人用のマップ

勢力

(勢力のみで考えると)強い勢力、弱い勢力で二分されている印象。特に、大きな制限なしの得点+パワー収入の幻術師が頭一つ抜けて強い

  • 強い勢力

    • 幻術師

    • 発明家

    • 修道士

    • 物見

    • 哲学者

    • 霊能者

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  • 弱い勢力

    • 祝福されし者

    • フィーライン

    • リザード

    • モール

    • 航海士

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  • 判断が付かず……

    • ゴブリン

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宮殿

特殊なものを試しきれていないが、先述の通り以下のような拡大系の宮殿タイルが強い。

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まとめ

  • ラウンド得点タイルより拡大再生産が重要

  • 最終ラウンドにリソースを得点に変換

  • 革新タイルはどれを取るかより枚数

  • 初手宮殿プランが有力

  • 「3人プレイの灰(山岳)」「幻術師」「拡大系宮殿タイル」が強い

以上、『テラミスティカ:革新の時代』の現段階の個人的な「ファーストインプレッション」だ。今後もプレイや考察を重ねてアップデートした戦略コラムをお届けするので、楽しみにお待ちいただきたい。